Teacher'sPet-先生のお気に入り-

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氷室編しかない

先生のお気に入り(氷室編)

プロローグ

制服・・・明日から着ていく真新しい制服。紺のブレザーの胸元には校章のワッペンが付いている。
白い卸し立てのブラウスに赤いスカーフ、
黒いプリーツスカート・・・。私が明日から通う“はばたき学園”の制服だ。
 
お母さんの母校でもあるはばたき学園、お父さんはこの学校で昔は数学教師をやっていて、今は副学長という役職である。
そこへ私も通う事になるとは、何か縁があるのかな。

部屋のドアをノックする音がする。
「満帆(まほ)、一緒におやつ食べない?」
私のお母さん氷室だ。プロのトランペット奏者だ。私が産まれる以前は、コンクールで色んな賞を取ったり、作曲もしていたみたいだけど。

今はフリーだし、頼まれた時にスポットで演奏するだけみたい。
家事も育児もあるしね。私も手伝える時は手伝うようにはしているけど。それに、私が長女で下には中学生の双子姉妹に小学生の男の子がいるのだ。6人家族なんだ。
「相当楽しみなのね、さっきからずっと眺めてたんでしょ?」
「そんなんじゃないよっ、だって、お母さんの頃のセーラー服のが全然いいじゃん」
「そう、まあ、早く下りてらっしゃい。お母さんの学生の頃の話聴きたいんじゃなかったの?」
「あ、やっと話てくれるんだ!」
あなたが高校生になったらって、お父さんから許可が出たの」
「あ、待って!すぐ行く」

うちの家は、はばたき市の森林地区の郊外の住宅地にある。私が小さい頃は、海が見えるマンションの高層階に住んでいたらしい。
だって小さい頃だからよく覚えていない。下の妹達が生まれてから、お父さんは思い切って30年ローンで家を建てた。
以前乗っていたイタリア製高級車のマサラッティ何とかって奴を泣く泣く手放したらしい。
今は無難なファミリーカーのバンである、だってうちは6人家族だから。
 
リビングに下りると、デーンとグランドピアノが置いてある。お父さんの持ち物だ。ただこれのおかげですごく狭い。
お母さんがよく洗濯物などを置いて、お父さんに小言を言われている。
ピアノは妹の一人、香帆(かほ)と小学生の弟、那沖(なおき)がやっている。 私は音楽とは無縁。研究とかマニアックなことが好きな私に、両親はピアノをさせる事を断念したらしい。
あ、もう一人の妹の事もついでに言っておこうかな。海帆(みほ)は、運動バカで流行りもの好き、お父さんに小言を言われるのは彼女が一番だと思う。

静かな午後の昼下がり、穏やかな陽光が差すリビングのソファに座る。相変わらず存在感のあるピアノ。やっぱり狭いなあ・・・
もう、暖かい紅茶とマドレーヌが用意されている。それには見向きもせず、お母さんの顔を見て喋りだす。
「はやく、はやく」
「でも、あんたが恋愛話に興味あるとは以外ねぇ」
「だってどう考えても、お父さんとお母さんって生徒と先生だったと思うもん。今までその辺りの事全然話してくれなかったし、、、
人の恋話なんかどうでもいいけど、両親のことなら興味あるよ」
「はいはい、じゃあ、、、、私がね、はばたき市に住みだしたのは高校生からなの。母子家庭だったから、私もあなたの叔父さんも普通なら名門のはばたき学園なんかに入れないわ。でもね、今でも理事長をされている天之橋さんのおかげなの。はばたき市に引っ越しして、二人とも公立しか無理だろうと思っていたのだけれど、たまたま私の母の職場に来てくれて、家庭の話を聞いて下さって、”じゃあ面接をしてみましょうか”となり、私も尽も、無事はば学に入学できたのよ」
「そして、入学式も無事終わり、新しい友達もできて、教室に入って、そして担任の先生がやってきたの。
それが、お父さんとお母さんの初めての出会いよ・・・・・・・








1年B組の教室は3階にある、名門校だけあって自分が通っていた公立の中学校とは比較にならない位校舎はピカピカだ。中庭には美しいイギリス庭園みたいな花壇がある。
体育館とは別に広い講堂もあるし、鬱蒼とした林を抜けたら、古ぼけているけど感じのいい教会もあった。
そこで、入学式をサボってしまった葉月くんとも知り合いになれた。

真新しいキラキラした環境にワクワクしていたのも束の間、 教室に入れば見知った顔がいない。
ここ、はば学は、何でも初等部から中等部、高校とエスカレーター式に通う学生がほとんどらしい。のように、高校 からの入学は稀らしい。何だかその話を聴いて、自分が学費免除の、それも吹奏楽でそんな有名でもない学校に、トランペット奏者の特待生として入学したとはとても言えそうな雰囲気ではなかった。
(はあ、何だか知らない人ばかりだなぁ、せっかくお話できた、藤井さんも紺野さんも違うクラスだし・・・やっていけるんだろうか・・・ハァ)


ガラガラと教室の扉が開いた。生徒たちは雑談を止め、それぞれの席に慌てて移動する。
(あ、担任の先生だ。やさしい女の先生だったら色々相談できるんだけど・・・え!・・・・・)

の希望は見事に裏切られた。教室に入ってきたのは、かなり長身でスマートで、切れ長な鋭い目付きにチタンフレームのメガネがよく似合っている。
隙のない、カチッとしたスーツを着こなしした、冷たい切れ長の瞳で美しい顔立ちの青年だった。
本人も隙などないのだろう。
(うわぁ、何だか怖そう・・・でも、カッコイイなぁ、葉月くんもカッコよかったけど、整った顔付ってこういう男性のことをいうのかなぁ)
ついつい見とれてしまう。

「私が君たちの担任となる、氷室零一だ。
学生の本分は勉学である。常に節度を順守し、勤勉であるよう心掛けることを望む。
以上、何か質問は?」
せっかく聞く者をうっとりさせるようなアルトボイスなのに、いかんせん言い方がキツイ。は何だかいたたまれなくなってきていた。

「はーい先生、彼女はいますかぁ?」
再び生徒たちがざわつきはじめる。が、
「たった今、節度を守れといった外だ。次!」
更にキツイ口調になり、クラスはシンと静まり返った。ドギマギしながらは氷室を見てしまうと、眼が合ってしまった。ついつい逸らそうとすると、
氷室は、獲物でも狙うように彼女を見つめこう言った。
「ん、君、
「はっはっはい・・・・・」
つい声が上ずってしまう、反射的に席を立ってしまった。
そんな彼女をさらに眼光鋭く凝視する。
「立たなくてよろしい。コホン・・・。襟が外れて捲れている。直しなさい」
「はっはい、すいません・・・」
うっかりしていた!
セーラー服の襟の胸元の部分がダランと捲れていた。これでは胸の辺りが丸見えだ。っていうか、見られてしまった・・・
あえて、誰も注意してくれる生徒はこのクラスにはいなかった、ということは、本当にこのクラスでは、
自分は独りなんだな・・・と実感した。
頼れるのは自分だけ、四面楚歌?? は不安になってきた。