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氷室編しかない

先生のお気に入り(氷室編)

コンクールと文化祭その3



残念な結果となった吹奏楽コンクール。
スパルタな練習は一旦小休止となり、文化祭に向けての演奏練習。そして、3年生は引退する。
新しい部長は2年生の地味な男子生徒、成績は学年10番以内という優秀な彼。氷室の選出基準は学業なのかもしれない。
周りを引っ張ってゆくリーダータイプではなさそうだ。

文化部所属ということで、は教室展示は手伝わなくてすんだが、氷室も自分の受け持つクラスの展示には最低限度の協力しかしないようだ。
コンクールに心血注いでいた分、終わってしまうと若干抜け殻のようになってしまっているのかもしれない。
先輩部員から言わすといつもの事らしいが、期末テストが始まる前にはイキイキとスパルタは復活する。


文化祭当日、は吹奏楽部のステージ演奏のため講堂に向かっていた。
控え室の入り口のところに、友人たちが立っていた。
「よっ」
「みんなで演奏聴きにきたよ」
奈津実に珠美に志穂、にいやんにスズカーに守村、そして葉月。
「わぁ、聴きにきてくれたんだ〜」
「俺らあんまクラシックは興味ないんやけど、奈津実姉さんがな」
「友達が演奏するんだよ〜。それにさ、こないだのコンクールはヒムロッチに追い返されて聴きにいけなかったし」
「氷室先生、あれはひどかったよねぇ」
奈津実と珠美はどうやら会場まで足を運んでくれたようだった。
「で、結局どうなったんだよ?」
「うん、毎年恒例で何の賞もとれなかったよ」
「な、だっせぇな」
「スズカー、そういうこと言わないの。じゃあね、演奏がんばって」
奈津実たちが会場に入ってゆく、葉月はに声をかける。
「おまえの演奏、聴くの、楽しみにしてる」
「うん、ありがと、っていってもその他大勢のパートだけどね」


ぱらぱらと拍手がおこる、演目がクラシックのみなので観客は少ない。
文化祭くらい、ジャズや流行曲やアニメ曲のブラスアレンジでも演奏すればいいのに・・・と思うが、氷室教諭はそれを許さない。
盛り上がっているのは応援団(?)くらいだった。

〜!」
ちゃ〜ん!」
にいやんと奈津実が、ライブのようなノリで応援する。
氷室はホール全体に響くような咳を一つする。そして、奈津実たちに手を振ると友人たちを交互に睨みつける。

マエストロ氷室が颯爽とタクトを上げ、演奏が始まる。
演目は「よろこびの歌」「新世界第2楽章」「剣の舞」と、クラシックではド定番の曲だが、ほとんどの高校生にはあまり興味がないらしい、観客の少なさが物語っている。
そういえばコンクールでは、自由曲は某怪盗アニメテーマ曲とか、ラテンやジャズ、フュージョンの定番曲などを他の学校は楽しそうに演奏してたなぁとは思っていた。

案の定、応援団は小声で色々と話し込んでいる。
『やっぱつまんねぇな』
『軍隊みたいに整列した演奏ですね』
ってどこ演奏してるの?』
『あいつ・・・なんで? あんなパート。せっかく巧いのに・・・氷室先生、何考えてんだろ』
母親がバイオリン奏者の葉月には、ここにいるメンツの中では一番音楽をよく解っている。
技術があるものがメインパートを演奏するものじゃないのだろうか、、、あれでは、サブパートの方が中途半端に目立ってしまい、締まってないというか、メリハリがなくなっている。
『みんな、静かに聴きましょう』
志穂がみんなに注意する。


演奏は滞りなく無事に終了した。
単なる安物のクラシックCDを生演奏で聴いたような、単調で正確な演奏に義務的な拍手がおくられた。

とりあえず文化祭は無事に終了した。
は、さっさと片付けを済ませ、みんなで文化祭を見て回るために挨拶もそうそうにこの場を離れようとする。

、どこへ行く」
「う、はい」
部員一同が緊張した表情で氷室の前に集まる。
「諸君、エクセレントだ! よくやった・・・観客の反応はいまひとつな感もしたが、君達はまとまった演奏ができていた」
(なんだ、お説教かと思った・・・)
「しかし、観客の心には響いていなかったようだ。これからは更に練習を重ね、心に響く演奏を目標に精進するように。以上だ」
もっと楽しんで演奏すれば、そして選曲もクラシックばかりに拘らなくても・・・とは思ったが、この人は自分の意見など聞く耳持たないだろう。
早く遊びに行きたいのもあって、は黙っていた。

漸く解散となり、は奈津実や葉月の元へ急いだ。