Teacher'sPet-先生のお気に入り-

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氷室編しかない

先生のお気に入り(氷室編)

雑貨屋でアルバイト



12月といえば師走、イベントが多い時期だからか世間はせわしない。
はばたき学園1年生、氷室学級の問題児、は、この学園に入学してからはいつもせわしない。
学力が通常より大幅に出遅れている彼女には、氷室教諭の特別授業に、通常の宿題の他プラスで宿題が課せられている。

おまけに、音楽で特待生で入学した以上、吹奏楽部在籍は条件である。そこでも氷室のスパルタ指導にハードな練習。
母子家庭で、美容師の母親は夜遅くまで働き休みも不定期、家事はほぼの担当。

そんな彼女にも、やっと努力の成果が現れてきた。

12月の期末テストが終了し、例のごとく学年上位100番までの生徒名が掲示された。
夏の期末テストは、赤点寸前で吹奏楽部を辞めさせられそうになったこともあった。

トップ5には、守村、葉月、有沢の名前、ぼんやりと掲示板を追っていると・・・

「あ!」

49位に、””と名前があった。

「や、やった・・・」
「がんばったな」
「葉月くん・・・」
「お、いたいた〜」
奈津実と珠美と志穂に守村も集まってきた。みんなクラスが違うのに。
「よくがんばりましたね」
「おめでとう」
「う、みんな、ありがとう。これで、やっと・・・」
「?」
「アルバイトができる〜!!」


翌日、さっそく必要書類を氷室教諭に提出しにいった。
昼休みの数学準備室、氷室は不機嫌そうにこう切り出した。
「学生たるもの、いかなる状況下にあっても、勉学と体力の向上に励むのがベストだと私は考える。
特に君の場合、家事労働、部活、とやるべき事がさらにある。不器用な君にこなしていけるのだろうか」
「う・・・でも・・・」
「言わんとする事は分かっている。はばたき学園では適度なアルバイトは推奨している。それに、
君が50番以内の成績を収めれば、アルバイトを許可すると約束した」
氷室は書類に判を押しながら、
、君が雑貨屋シモンで毎週火曜、木曜のアルバイトをすることを許可する。以上」


吹奏楽部も、毎日参加しなければならない訳でもない。この半年、毎日参加していたのはくらいだ。
第3日曜日の全体練習さえ欠席しなければよい。実際アルバイトをやっている部員もいるし。
そもそも赤点取ったら退部という、理不尽なローカルルールがある以上、偏差値の高いはば学で成績安定でいる為に、塾通いで休む部員もいる。
ただし週に一度も参加しないと、氷室からイエローカードの判定が下る。

がバイトを始めて暫く経ったころのこと。
今日の部活は、バイトのためは不在。
氷室は部員の練習のため、伴奏のピアノを弾いていた。
(しかし・・・彼女に雑貨屋のバイトが務まるものなのだろうか・・・いや、率直にいって、世間一般的にも、うっかりもののおっちょこちょいの類だ。
これは間違いない。たしかに理事長の言うように、ある者は自分の適性を見出し、進路の選択を合理的に行うことができるかもしれない。
しかし、そうでないものは・・・彼女に、自分の適性を見出す能力はない。
おそらく、雑貨屋で世間の厳しさをイヤと言うほど思い知り、打ちのめされる。
山のように積み上げられた洗面器や洗濯ばさみの類につまづき、商品を引っくり返し。心無い店長は、いつまでも品名を覚えられない彼女に罵声を浴びせるだろう。
無神経な客の悪態に傷付いた彼女は、自分を社会の落伍者と決め付けてしまうかもしれない・・・・・・

迂闊だった! 何とかしなければ!)

バーン!

鍵盤を叩きつけ音楽室を後にした。
氷室教諭は颯爽と、愛車マサラティGT3000に飛び乗った。

! 自分を見誤るな! 君には素晴しい処はいくらでもある!! 何なら私が店主に掛け合ってやる!
負けるなっ!!)

盛り上がった氷室教諭は、雑貨屋シモンに到着した。

「ここか・・・」

(ん、雑貨屋?? この場所は、私の雑貨屋にたいする認識と明らかに違う・・・
雑貨・・・たしかに日々の細々とした商品は扱ってはいそうだが、これは、主に婦女子向けの店舗であり装飾品ではないか。
洗面器は? 洗濯ばさみは? 柄付きたわしはどうした?!
・・・・・・いた。!)

「あ、氷室先生、いらっしゃませ」
「コホン、いや、何か、問題はないか??」
「・・・?? はあ、とくには」
「いや、それならよろしい。コホン、いや、何、ただの買い物だ・・・」
「はあ、何をお探しですか?」
(やはり、俺が買い物というのは、不自然だったのか・・・)

挙動不審な氷室、はポカンとした表情で氷室を見つめた。。。