Teacher'sPet-先生のお気に入り-

暴走妄想自己満足サイト
氷室編しかない

先生のお気に入り(氷室編)

課外授業



5月末の帰りのHRのこと。

「静かに! 来週の日曜、課外授業を行う。内容はプラネタリウムの鑑賞。参加したい者は挙手しなさい」
(課外授業か・・・どうしよう・・・日曜まで氷室先生かぁ・・・)
クラスでは、ちらほらと手が挙がっている。
噂では氷室の課外授業は、知識向上心の無い者には容赦なく罵倒を浴びせ、A4版で最低5枚以上のレポート提出を要求される。
(どうしよう・・・う・・・ん、ここは、頑張ってるんだぞアピールで挙げちゃえっ)
も挙手する。
・・・・・・来るのか・・・)
氷室としては、また、やっかいな事になりそうだと思いつつ、そんな表情は微塵も出さず、HRを続ける。
「では、次週日曜、先程挙手した者は、はばたき駅前に午後1時に集合。決して遅刻などしないように。
それではHRを終了する。用の無い者は速やかに帰宅するように」



5月最後の日曜日、空は雲一つない快晴だった。まあ、プラネタリウムなので、室内に籠ることになってしまうが。
「氷室先生、こんにちは」
、早いな。いい心掛けだ」
「プラネタリウムなんて、子供の頃以来です。ワクワクします」
、遊びに来ているのではない。これは、あくまでも授業だ」
「はい、本日の上映プログラムは、”黄道12星座”です」
「−−−−−−」
「でも、本来は13星座なんですよね、へびつかい座は黄道上に位置しています」
「ほほぅ」
どうやらある程度の予習はしてきたらしい。
「でも、何で1995年から、13星座と云い始めたのでしょうか?」
「それはだなーーーー」
他の生徒もやってきたので、氷室はこの講義を一旦中断した。本日の参加者は海晴を入れて6名。


はばたき市のプラネタリウムは小規模である。商店街の一番奥にひっそりと建っており、昭和を感じる。
「それでは入場する。私語を慎むように」


「本日の上映は終了しました」
1時間半程のプログラム、朝の10時から午後3時までの営業しかしていない。その内つぶれるのではないだろうか。
観客も、はば学生と引率教師、老年と中年と青年のカップル3組だけだった。

客が少ないということで、氷室はこの場で、本日のテーマについて捕捉解説をした。
へびつかい座と12星座についても、解かり易い解説だった。
ああ、この人は、純粋に、自分の博学や知識を、人に教えるのが好きなのかもしれない。
いつもの授業の様に、イキイキとしている。


「本日の感想はどうだ? 
「え、あ、はい。ここは古い施設ですが、あの輝きが何億年も前の恒星なんだと思うと、神秘的です」
「うむ、そうだな。実際我々が観察する恒星は、例えば”蠍座の最輝星アンタレス”が約550から600光年ということは、
今現在、我々が観測する光は、600年前の光を見ているという事だ」
「1光年って、光の速度で1年懸かるって事ですよね。何だか想像がつかないです」
「よろしい。宇宙というのは、我々の尺度でははかりしれない・・・」
(あ、なんか、楽しそう。先生)
「それでは、レポート提出は3日以内に提出するように」

「以上、それでは解散する」


帰り道、商店街で夕食の買い物をしながら、は思った。

「私も、氷室先生も、12星座では蠍座だけど・・・。13星座では天秤座かぁ」
何だか、氷室には蠍座の方が合っているな、とは思った。