Teacher'sPet-先生のお気に入り-

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若王子編しかない

先生のお気に入り(若王子編)

プロローグ



「起きて下さい、、、、」
「ん・・・・」
 は、彼の右肩を揺さぶってみる。目の前の整った顔立ちの青年は、青年といってももう30歳近いのだが、寝返りを打つだけで目覚める気配はない。安心しきった表情でスヤスヤと寝息をたてている。
長い睫にふわっとした前髪、スッとした鼻筋、相変わらずカッコいいな、とは見とれていたがそれ所ではない。いい加減起こさないと仕事に遅刻してしまう。
「貴文さん!!起きてっ!」
 思いき切り彼の両肩を掴んで毛布を剥いでみる、毛布の上で丸まって眠っていた部屋猫が、驚きながらもベッドの下にうまく着地した。
「ふにゃーーー!!」
「え・・・」
 一緒に暮らしている彼、若王子貴文は、ぼんやりしながらゆっくりと身体を起こす。そしての肩を抱き寄せる。
「ん、、どうしたの・・・? 昨日の愛し方じゃ物足りなかった・・・?」
 をぼんやりと見つめながら自分の方に引き寄せて、顔を近づける。は一瞬顔が赤くなったが、すぐに彼から逃れる。
「もう!ふざけないで下さい!遅刻しちゃいますよ!!」
「あ、そうでしたー」
 もそもそと起き上ってキッチンに向かう、ここは若王子が猫と一緒にずっと暮らしている2Kのアパート。だが、今年の冬から彼女のと暮らし始めた。そして、春がきた。
の母親に、子供が産まれ年の離れた妹ができた。はひとり暮らしを考えていたが、彼女の経済的にも自分の為にも効率がよいと思い、若王子は、なかば強引に同棲をすることにした。
「あ、ダメですよ!ちゃんと顔を洗って着替えてからにして下さい」
 用意した朝食をつまみ食いしている。起きたばかりでよく食べられるものだ、と、感心してしまう。見た目だけでなく、やはり実年齢よりは相当若いらしい。
「はーい、先生、怒られてばかりです」
 ニッコリと微笑みながら、頭を掻いている。未だに自分の事を先生というクセが抜けてないらしい、もうの先生ではないのだが。


 二人は海沿いの道路を歩いている、潮風が心地よい、向こうに見える羽ヶ崎の灯台は、にとって人生が変わったアイテムのようなものかもしれない。
若王子は勤務先の羽ケ崎学園へ、徒歩で出勤している。はこの先のバス亭から一流音楽大学へ向かう。
「でも貴文さん、私のいない時によく自分で起きてましたね」
「そうだね、どうやって起きていたんだろう・・・」
 顎に手を添えて真剣な表情になっている、そして、にっこりと笑って、彼女の両手を握りしめる。
「でも、今は君のいない生活なんて考えられない・・・だから、ずっと僕の傍にいてほしい」
「貴文さん・・・」
「さ、バスが来たみたいですよ。いってらっしゃい」
 二人の前にはばたき山方面に向かうバスが停車する。は乗車して、外が見える場所に立った。若王子が手を振りながら見送ってくれている。
(・・・・・・・・)
 は、高校時代をふと思い出した。若王子の暗い過去の話。今でも突然消えてしまいそうな危うさがあるのは彼の方だ。
私は彼のいる場所から離れるつもりはない。
 そう、高校の頃、彼は私の担任の先生で、誰に対しても優しく丁寧な物言いをする、おっとりした人気の先生だった。けれど、誰にも心を開いていなかった。仲良くなって、、やっと心も身体もひとつになれたと思ったのに、笑顔で手を振る大切な人を見つめながら、ふと、不安になる。
今だにに対しても、完全には心を開いていないのかもしれない・・・・・・







 が羽ケ崎学園に入学して一か月がたっていた。
 クラスは違うけれど、女の子の友達もできたし、知り合いになった男の子も何人かいる。
その中で、一か月しかたっていないのに同級生の佐伯は学園の王子と呼ばれ、成績優秀、スポーツ万能、品行方正、眉目秀麗、、、
だから始終女子生徒に囲まれていた。しかし、私は彼の秘密を知っている。それは単なる偶然からだが、顔を合わせれば、取り巻きの女子の愚痴とか、聞かされる。
大変だね、と話を聞くだけだが、学生生活に対して屈折しているなぁと思う。
 この間も、仕事に間に合わないからと、帰宅の際、女子達から逃げる為のダシに利用された。
 
 は吹奏楽部に入部した、そこで知り合った友人の水島密にメールを送っていた。
「え、と、今日は実験授業の後片付けの当番なので、少し遅れます。 送信っと」
 
 化学室で実験器具を洗浄して、水気をふき取る。あとは棚にしまうだけだ。しまい易い中段の棚はビーカーなどでぎっしり詰まっている。担任の性格かカテゴリー分けが曖昧なので、上段しか空いていない。
(さすがに、ちょっと届かないなあ・・・・)
 の身長は164センチ、一般の女子よりは少し高いが、最上段の棚は、爪先立ちしてやっと届くくらいだ。奥には置けそうもない。
(えい、この、えっっ・・・!)
 爪先立ちだったので、思い切りバランスを崩して足を捻りそうになりながら、はガラス器具を落としてしまった。
バランスが崩れ、割れたガラスの破片に倒れそうになる。
「うわぁっ!!」
「危ないっ!!」
 たまたま通りがかった若王子が、倒れそうな彼女を支える。が、二人ともバランスを崩してしまい倒れてしまった。
「ん・・・・」
 が若王子の腰の辺りを跨ぐ格好で、彼を押し倒した。
そして、、、、、、、、二人の唇と唇が重なった。


「う・・・・、あ、スミマセン!」
 は慌てて彼から離れる。目を瞑っていたので本人は状況が分かっていないのが幸いか。二人はゆっくりと立ち上がる。
「いえ、こちらこそ、僕も受け止めきれませんでした。怪我はないですか?」
「は、はい、大丈夫です・・・・」
「無事でよかったです。あ、唇以外はとゆう事ですが・・・」
「えっ?!」
「念のために保健室に行っておいた方がいいです。後は先生がやっておきます」
「はい、すいません! 失礼しますっ」
 は急いで化学室を後にした。
(今のは、まさか・・・・・でも、若王子先生なら・・・でも、やっぱ、恥ずかしい・・・・・・)
 よくよく考えてみれば、初めての接吻だったわけで・・・