Teacher'sPet-先生のお気に入り-

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若王子編しかない

先生のお気に入り(若王子編)

夏合宿にて



花火大会、浴衣、海、プール、、、
女子高生の夏休み、充実していた、、、とは言い難く、女友達とばかり過ごしていた
は、明日から始まる夏合宿の準備をしていた。

夏休みももう後半、とくにお目当ての男の子がいる訳でもなく、
一番仲の良い(多分)佐伯とも、特に何かが始まった訳でもない。

そもそも、彼は夏も労働に励んでいたり、実家に帰っていたりで、の相手をする余裕もなかった。
だからと言って、も特に彼に対して淋しいとか、せつないとかの感情を抱くことはなかった。

「そういえば・・・陸上部も合宿あるんだよね・・・」
何となく会いたくない人、自分の担任でもある若王子教諭、彼女を連れて会ったときから、
の中で、グレーな感情が自分でも気付かない内に少しだけ湧いてきていた。


まあ、こちらは吹奏楽部だ。
合宿棟も違うだろうし、そんなに顔を合わすこともないだろう。
は1週間分の荷物を詰めて、出掛けることにした。

「お姉ちゃん!」
「あ、遊くん」
「これから合宿?」
隣に住む小学生の遊くん、はあまり子供には懐かれない方だが、彼はの事がお気に入りのようだ。

「うん、あ、学校に行くだけだからお土産はないよ」
「わかってるよー。あー、つまんないな、お姉ちゃんいないんだぁ・・・」
まだ子供子供しているので、男の子でも何だかかわいい。
「そうだなあ、、、私が帰ってくるまでに宿題終わらせたら、プールに連れていってあげようかな」
「ホントー!! 約束だぞ。オレちゃんと宿題やる! お姉ちゃん、いってらっしゃい」
といいつつ、公園の方に走り出していった。友達と遊びにいくのだろう。
まあ、要領のいい子ではあるから、ノルマは達成するんだろうな、とは遊の後ろ姿を眺めていた。




羽ケ崎学園での合宿は、各教室に簡易的な畳を持ち込んで教室をお座敷にしてしまう。
机を後ろに片づけたり、寝床の準備だけで半日が終わってしまう。
食材の買い出しやら、掃除やらで、初日は楽器にはほとんど触れられなかった。

若王子とは顔を合わしても挨拶をする程度で、の方が何となく意識的に避けていた。

だが、彼とじっくり話す羽目になってしまったのは、が食事当番の夜だった。

さん」
「わ、若王子先生! なんでここにいるんです?」
「今夜の献立はなんですか?」
たしか、運動部は別棟だったはずだが。
「え、プーパッポンカリーですけど。。。なんで、若王子先生がここに?」
「プーパッポンカレー・・・なんです、それ?」
「エスニック風の卵でとじたシーフードカレーです・・・って、若王子先生、ここは吹奏楽部ですよ」
「最近冷たいですね、さん」
若王子が、しゅんとしている。しかし、部活の顧問は彼ではないのだから。
さん、僕も一緒に食べていいですか?」
「え、でも、陸上部でも用意しているのでは・・・」
「その、何だか、陸上部の皆さん、最近お疲れなのか、料理が塩辛すぎて・・・あんまり美味しくないな・・・と」
「もう、若王子先生ったら。ダメですよ。ちゃんと生徒さんの作ったもの食べないと」
「お願いします。今日だけっ」
背中を丸めて、若王子が懇願する。の前で手を合わしている。
「はい、わかりました。後で怒られても知りませんよ」
「やったー、さん、ありがとう」
にっこりとほほ笑む彼を見ていると、何だかほっとする。



吹奏楽部の顧問は若王子の姿を怪訝には思ったものの、大して気にもかけていないようだった。
若王子は満足したらしく、の料理をわざとらしいくらいに褒め称えた。
部員達の評判もよく、の株は上がったようだった。

後片付けを終え、最終の風呂上りのことだった。
人気のない真っ暗な渡り廊下は、何だか空気がひんやりしている。
だが、向こうの暗闇から誰かがやってきた。
さん、や、フロ上がりだ」
「若王子先生、おやすみなさい」
は彼の前から早々に立ち去ろうとした。
「あ、待ってください」
「先生・・・・・・」
「・・・こないだの事、気にしてる?」
「え・・・・・・」
は思わず俯いてしまった。
「別に・・・そんな・・・恋愛は自由ですし・・・」
「恋愛なのかなぁ・・・・・・あれから、連絡ないし・・・」
「え、な、だったら、先生から連絡して上げれば・・・・・・」
「うーん、付き合って欲しいって言われたから、何となく・・・でも、彼女の必要性を感じないんですよ・・・
だから、特に自分から連絡しようとも思わないんです」
「そ、そんな、だったら、最初から・・・」
「見損なった? 先生の事?」
「・・・・・・・」
「僕も健全な大人の男ですから、そっちの方の処理も・・・いや、それはともかくとして・・・」
「・・・??」
「その時は、恋人もいいかなって思ったんです。でも、僕にはそんな感情は抱けなかった。。。少なくとも、彼女に対しては・・・」
「・・・はぁ」
の中で、この”のれんに腕押し”的な恋愛感情すらもたない男の恋人になるのは大変なんだろうなと思いつつ、
どうゆうわけか、ステディな女性ではなかったことに安堵する自分もいた。

「フフ、僕の恋人は猫だけですね。人間の恋人はできそうにないです」
「猫を飼ってるんですか?」
「そう、自由気ままに出入りする猫さんが2匹います。でも、友達を連れてくるので、実際何匹養っているんでしょうね」
若王子がニッコリとほほ笑む。柔らかな髪と端正な顔立ちが月明かりに美しく照らされる。
「さて、僕もフロに入って眠ることにします。さん」
「は、はい」
「今日はありがとう。ブッパポンカレー、とても美味しかったです。。。それじゃ、おやすみなさい」
「おやすみなさい・・・」

の心は、あの時の事故チューの様に再びざわついてきた。

心の中で、若王子という存在がさざ波をたてている。。。