Teacher'sPet-先生のお気に入り-

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先生のお気に入り(設楽編)

課外授業


5月最後の日曜日、天気は快晴で気温は夏日である。は、制服は夏用を着ることにした。
氷室ならともかく、設楽は何も言わないだろうと思った。

本日は、はばたきイベントホールでクラシックコンサート、若手ピアニスト、”ヨン”のソロコンサートである。

待ち合わせの新はばたき駅へ向かう途中、設楽が垣間見せた、複雑な表情。
以前、ピアノをやっていた先生、ピアノをやめてしまった事と何か関係あるのだろうか。

集合時間の5分前、参加生徒(を入れて)10名がもう集まっていた。
ほぼ、吹奏楽部員で大半を占めていた。

時間を10分過ぎても、設楽は現れない。
開演時間を考えて、生徒達は焦りだす。

「誰か、設楽先生の携帯番号知らないの?」
「どうする? チケット先生が持ってんだぜ」

「おまえら、遅れてすまん」
遅刻で焦ることもなく、設楽が普段通り歩いてきた。
「悪かった。駐車場が空いてなくてな」
「先生、もぅ〜」
「あせっちゃったよ」
生徒達が騒ぐ。
「だから、悪かったって」
「こういう時は公共交通機関を使わないと」
はつい、本音を言ってしまった。
「うるさい。俺は日本の電車とバスには乗ったことがないんだ!」
「えええーーーーーっ!!」


ランダムにチケットが配られ、の隣には設楽がムスっと座っていた。
「国際ショパンコンクールで、第1位だったんですね、アジア人では二人目ですって。すごいですね」
「・・・・・・・興味ない」
「はぁ・・・」
まったく、子供みたいな所があるな、とは普段から思っていた、が、公共の場所なのに。
設楽は、これから寝る、とでも言わんばかりに目を瞑っていた。
拍手と共に、場内が暗くなる。

コンサートが終わり、設楽は簡単に、レポートの提出詳細と速やかな帰宅を義務の様に話し、そして解散となった。

「設楽先生」
、何だよ」
「今日のコンサート、設楽先生にとってはハズレだったんですか?」
「ハァ?」
「私は、さすが世界のピアニスト、申し分ない演奏だと思いました」
「・・・おまえがそう思うなら、それでいいんじゃないのか。いちいち報告しなくていい」
「だって、先生、まともに演奏を聴こうともしてないですよ。せっかくのコンサートなのに」
「・・・・・・だから?」
「一応、私、吹奏楽部でアルトサックスやってます。楽器を演奏する者なら、ちゃんと聴きます。
設楽先生だって、以前はピアノ・・・あっ!!!」
「おまえっ!! なんで、その事を・・・」
「ご、ごめんなさい!」
は駆け出した。
「お、おいっ!」
設楽が呼び止めるようだが、あえて追いかけては来ない。
触れられたくない過去に触れようとした事を反省した。

どうしよう・・・
氷室に、深く追求するなと、あれ程釘を刺されたのに。
担任だから顔を合わせない訳にもいかない。